GPT-5.5 を選んだのに遅くなる理由は単純な「回線だけ」ではない
2026 年春頃までの更新ログを俯瞰すると、GitHub Copilot はエディタ連携だけでなく、ローカルの Copilot CLI と呼ばれるワークフロー向けチャネルも同じモデル一覧を共有していく動きがあります。モデル一覧に GPT-5.5 が並び、体感で「回答の質は上がったのにチャットが細切れになる」「ログインがループして認証ウィンドウが閉じない」「CLI が途中で止まって再試行する」という報告も増えました。ユーザー視点では一見ランダムでも、開発者プロキシの現場では 長寿命の HTTPS と HTTP/2 多重ストリーム、地域出口の差 DNS の二重化 SSO の往復が重なると、体感速度と成功率が同時に崩れやすい、と整理できます。
ブラウザは OS のプロキシや拡張の助けで比較的「素直」に迂回できますが、Rust/Go/Node で書かれた CLIはシステム設定を読まずにポートを開くことが珍しくなく、結果としてエディタ内の Copilot は動いてもターミナルの Copilot CLI だけタイムアウトという非対称が起きやすくなります。さらに GitHub と Microsoft アカウント連携では login.microsoftonline.com 側のレイテンシも成功率に効くため、「AI の応答時間」だけを疑ってプロファイルを増やしても効かないことがあります。Clash Meta(Mihomo)は、この複合課題を一枚の YAML にまとめる前提で強いです。ホスト粒度のルール、TUN によるレイヤ統一、DNS、そして明示的な HTTPS_PROXY 系列の整合を同じワークフローで整えられる点が決定的です。
本記事は開発マシンの典型パターン(Rule 基底+実利用ホスト証跡での追記+環境変数の再確認)に沿って、モデルだけを GPT-5.5 に変えた直後だけ症状が増えるときの切り分けを並べました。共通のセットアップ手順が必要な場合は、先にClash Verge Rev 設定ガイドを開き、Subscriptions と Profiles が整っていることを前提に読み進めてください。あわせて、Google 側 API と似た論点が気になる読者にはGemini CLI と Verge Rev の事例稿も補助線になります。こちらでは GitHub・Microsoft SSO・Copilot に寄せています。
rules: 内の転送先名(PROXY など)は、自分のプロファイルにある選択肢グループ名に必ず読み替えてください。テレメトリ類は購読の既定ルールに含まれることが多いですが、欠けがあるならログの実名で追記するのが正攻法です。
ステップ 1:症状をモデル種別・UI・ログで記録する
いきなり巨大なルールを足すより、最初に二分木の質問へ答えるようにメモするだけで復元が楽になります。まずモデル一覧で本当に GPT-5.5 を選んだときだけ失敗するのか、他モデルにも波及するのかを切り分けます。次に IDE 埋め込み UI と Copilot CLI で再現可否が異なる場合、後者はプロキシ非適用の可能性が跳ね上がります。HTTP であればタイムコード付きスクリーンショットだけでなく、401/403 と TLS handshake エラーを文字起こししておけば、その後の curl 対照にも流用できます。
混線しやすいのは複数レイヤーを同時に触ることです。既存 VPN、社内向け透明プロキシ、コンテナブリッジ、あるいは前日に試したときの環境変数が別タブに残っていないかを一行ずつチェックリスト化しましょう。ここでの目的は単発の体感改善ではなく、同僚や未来の自分に説明できる再現セットを残すことです。メモ粒度が細かいほど、あとから「どのレイヤだけ戻すべきか」が読みやすくなります。
ステップ 2:Rule モードと購読/ノード確認
Clash 系インターフェースを使うときの基本として、運用モードは Rule に固定してください。続けて Subscriptions と Profiles が期待どおり取得できていること、ログに異常フェッチが出ていないかを見ます。ノード評価は URL-TEST の一覧値だけ見て安心せず、同じ西海岸でも実体ロードバランサが違えば体感が正反対になるケースがあります。Copilot が参照する側のモデル処理はクラウド上なので、「出口が弱いときほどモデル一覧の名前ばかり疑いたくなる」心理を避ける意味でも、レイテンシとパケット断の両方で見てください。
Global で常時プロキシに寄せ切る構成は単純ですが、アジア側のコンテンツや社内サイトまで遠回りされ、体感が悪化したと誤認しがちです。GitHub と Microsoft のみを PROXY で包み、ほかは静かに直結させる運用ほど総合体感は安定します。ここは将来の自分への投資になります。
ステップ 3:GitHub と SSO 関連ホストを PROXY に流す
Clash Meta でいう分流は、ログに規則照合順序がそのまま可視化できるのが強みです。購読付属のセットが広ければ Override を最小で済ます一方、CLI と IDE で落ちているホストの差だけを埋めるときは Merge で足すほうが安全です。一例として Merge に置くときの書式イメージを示します。グループ表記だけは自分の YAML に一致させます。
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,github.com,PROXY
- DOMAIN-SUFFIX,githubusercontent.com,PROXY
- DOMAIN-SUFFIX,githubassets.com,PROXY
- DOMAIN-SUFFIX,live.com,PROXY
- DOMAIN-SUFFIX,microsoft.com,PROXY
- DOMAIN-SUFFIX,microsoftonline.com,PROXY
.com 付きだけで足りないサブセットが増えたら、ログの実際の FQDN を suffix に写します。モデル機能が増えると関連バックエンドも増えるため、この追記リストは時間とともに育つ前提で構いません。ルール増加で評価負荷を嫌うのであれば、まず広い suffix を許容できる範囲で統合し、その後だけピンポイントの除外を増やしてください。
ステップ 4:TUN で IDE/ターミナル両方を同じ経路へ載せる
環境によってはエディタの埋め込みターミナルが別ユーザーコンテキストになり、親のプロセスツリーから環境変数継承が途切れることがあります。ここまで手を入れても CLI が直結に見えるなら、設定画面で TUN を有効にし権限許可まで進めます。スタック選択は環境ごとに最適があり、まず Mixed から開始し問題が続くときに System へずらす順が現場では扱いやすいです。もちろん、企業端末で NIC 増設自体が許可されていないケースがあるため、その場合は TUN が不要な設計まで戻してください。
TUN は問題の検知を単純化しますが、悪質ノードへの依存も同時に強調されます。上流でパケット断が増えるときは Global とは別の次元で体感が不安定になり得るので、次のステップの DNS とあわせて観察するのが定石です。
ステップ 5:DNS を fake-ip などで統一してリークを止める
CLI が「名前解決だけは勝手に ISP 側へ」「実トラフィックは別出口」となると、ログ上は成功に見えるのに瞬間的に張り替わって RST が増える、という非対称が出ます。dns.enable と enhanced-mode を揃え、fake-ip を据える構成は開発者向けの定番になりつつあります。Reload 後にブラウザのセキュア DNS を一度オフへ戻したり、OS の複数 NIC にバインドされている追加リゾルバを順に確認したりすると、競合個所が浮かびやすくなります。
断片だけ例示すると次のような形ですが、上流リゾルバの許諾関係があるためそのまま写経せず、利用ポリシーに合わせて差し替えてください。
dns:
enable: true
enhanced-mode: fake-ip
fake-ip-range: 198.18.0.0/15
nameserver:
- tls://dns.alidns.com
fallback:
- tls://8.8.4.4:853
外部で簡単に状態を確認するならブラウザ向けサイトと、ターミナル側の名前解結果を両方並べます。両者が食い違うままモデル機能だけ増やしていくほど GPT-5.5 のようなヘビー級モデルでの不安定体感が増える点に注意しましょう。
ステップ 6:HTTP_PROXY / HTTPS_PROXY / NO_PROXY を揃える
Go ランタイムを使った CLI は 環境変数の大小文字両方を尊重するものと片方のみのものが混在します。http_proxy と HTTP_PROXY が食い違う、親シェルを再起動しないままだけ反映されない、といった細部が積み上がると、IDE 機能と CLI が別世界を見てしまいます。NO_PROXY に広すぎる * 系設定が混入していれば、結果的に直結側へ強制されることにもなります。
統合開発環境の組み込みターミナルでは、ワークスペース設定がプロセスツリーごと書き換わるので、問題の再現中だけ env | rg -i proxy 相当を習慣化してください。コンテナ開発なら親ホスト側とコンテナ側で二種類の proxy セットが並行して存在しないか確認します。明示的 HTTPS 環境変数の欠落は、モデル機能が増えタイムアウト許容時間が変わったタイミングで表面化しやすいです。
ステップ 7:curl と Core ログで GitHub と認証経路を叩く
モデル機能を呼び出す前に、単純なトラフィックで土台を確認します。api.github.com と github.com、さらに Microsoft 側の SSO 関連ホストに対して HTTPS の TLS レイヤのみ先に確認してください。証明書エラーだけが出ているなら証明書ストアやピン留め問題、HTTP 側に進んでからだけ失敗しているならルール競合などが疑えます。Mihomo コア側のイベントログと同タイムコードを並べて照合すると、どの規則に落ちていたか説明できるようになります。
一度成功しただけで安心せず連続三至五回試行して成功率を見てください。断続 RST はモデル体感では「たまに遅いだけ」になりがちであり、開発者体感とネットワーク診断の間に情報欠落があります。ログを残すときはウィンドウ幅が狭くて読めない状態で済ませず、テキストとして保存しましょう。
ステップ 8:URL-TEST と手動切替で混雑帯を回避する
GPT-5.5 が選べる状態になってから混雑のピーク時間帯にだけ体感が崩れるとき、出口ノード側のキュー滞留が原因のことがあります。URL-TEST 系の自動選択は便利ですが、短時間のレイテンシ試験よりHTTPS の実セッションを維持する能力を見ていないときがあります。自動から手動の地理的近傍ノードへの切り替え、あるいは逆に西海岸寄りへの切り替えなど、自分のワークロードでの実測リストを二段階以上持つのが現実解です。
ノードを変えるときは複数項目を一度に変更せず、この記事で挙げた順に一つだけ戻しながら影響度を評価してください。複合変更ほど運用ログが読めなくなり、後から「どこが効いたか」を説明できません。長期開発では読めるログこそ資産になります。
よくある質問
システムプロキシだけでは Copilot CLI が不安定なのはなぜですか
ターミナル向けツールや一部ランタイムは OS のプロキシ設定や PAC を読み飛ばし、直接ソケットを張ることがあります。結果として IDE 機能は動く一方で CLI が直結側へ落ち、タイムアウトだけが増える光景がよく見られます。その場合は TUN でレイヤーを揃えるか、HTTP_PROXY とツール側のフラグを明示してください。
ルールには最低限どの種類のドメインを入れればよいですか
起点として github.com 系や githubusercontent.com、ログイン検証では login.microsoftonline.com など SSO 側のホストがよく問題になります。ただし提供側のアップデートで追加ホストが増えるため、最終確認は自分のログに現れた名前を基数に DOMAIN-SUFFIX で積み上げるのが確実です。
HTTP_PROXY を入れたのに環境だけが効きません
別ウィンドウの古い環境変数や NO_PROXY に広すぎる例外が無いか、また sudo 実行で環境が引き継がれないかを確認してください。コンテナ内とホスト側で値が二分しているケースでも同様です。問題が IDE だけならワークスペースのプロキシ設定も併せて見ます。
TUN をオンにすると全体的に不安定になります
いったん TUN を外しノード単体の応答だけを Proxies で見直し、その後 Mixed と System で切り替え比較します。社内コンプライアンスでアダプタが止められているときは運用側と調整するかプロキシ専用料金に限定した設計へ戻す必要があります。
まとめ:モデル時代ほど経路ログが重要になる
GPT-5.5 のような高機能モデルを Copilot と Copilot CLI から同じアカウントへ載せ換えるとき、開発者体感はモデル側の更新だけでは説明できない部分が増えます。ひとつの商用 VPN で丸ごと包む構成はセットアップは早いものの細かなドメイン粒度の検証ログが読みにくく、IDE と CLI とブラウザの境界で原因がばらけると手戻りが大きくなりがちです。ブラウザ専用拡張だけに寄せる案も現実的ですが、言語サーバや独自ポートを張るワークフローでは対象から漏れやすく、モデル体感とネットワーク診断の間にギャップが残りやすくなります。
Clash Meta(Mihomo)のルール DSL と DNS、環境変数の三点セットは、モデル機能が増えてもワークフロー全体へ同じ原則を反復適用できる点で優れています。コア側と GUI が活発なフォークを選んでおけば、アップデートで増えるホスト名への追記も継続的に担えます。この記事では再現セットの用意から順に並べましたが、最終的に価値があるのは文章そのものより自分の環境ログを説明できる短いチェックリストになります。その意味でモデル時代ほど経路ログを残す運用が投資になります。